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敗者たちの会議

【記事作成:スピカ】

※この作品は『PSO2』を題材にした二次創作です。実際のゲーム内の、個人、団体、事件等とは一切関係ありません。



 「どこに間違いがぁぁぁ!」
 マザーシップの残骸に断末魔がこだました。今、アークスを襲う巨悪、ダークファルス【敗者】がアークスと戦い、敗れた。いや、今巨悪が敗れた、というのは少々語弊があるかもしれない。本当の巨悪はもっと昔に敗れている。今敗れたのは、それのコピーである“クローン【敗者】”だ。
 クローンの【敗者】が敗れたマザーシップの奥地に影が三つ。黒衣に身を包み、ニューマンのように尖った耳を持っている。片目を覆い、紫色のグラデーションのかかった髪をした細身の男性。三人とも全く同じ出で立ちだ。彼らもまた、ダークファルス【敗者】のクローンたちである。
 「僕のクローンがまた負けたみたいだね」
「まったく……僕のくせに、みっともないね」
「待て、あれもまた僕だ。あれを批判することはすなわち僕自身を批判することじゃないのか?」
「何を言う、物事を客観的に考察しただけだ。あのような断末魔を上げながら絶命するとは……まるで小物の様だろう?」
 三人のルーサーのクローンたちは会話をしていた。オリジナルのルーサーはもともと「フォトナー」と言われる太古の科学者集団に属していた。そんな彼は研究の過程で意志を持った惑星『シオン』を発見した。知識に貪欲だったルーサーは、全知な存在である『シオン』を取り込み自らが全知となろうとして、様々な方策を巡らせ彼女を得ようとした。シオンをマザーシップという外郭で覆ったり、アークスの管制を掌握したり、自らがひっそりとダークファルスとなったり。しかし、アークスや他のフォトナーたちによってそれを全て阻止された。妨害されたことに対し激昂した彼は「自らが全知となればいい」などとのたまい、ダークファルスとしての本性を現した。マザーシップを乗っ取り、アークスへの復讐を試みた。だが、そこでも彼は敗北し、オリジナルは死亡した。死亡の直後、彼とはまた別のダークファルス【双子】が現れ、彼の死体を喰い、クローンが生み出されることとなった。現在アークスに襲い掛かるルーサーは、すべて【双子】に呼び出された「クローン」である。
 「しかし、僕のオリジナルがあのようなところで負けていなければ、こんな惨めな思いをせずに済んだというのに……」
「しかたないだろう、まさかもう一つのマザーシップが現れて、僕が掌握していた管制が全て奪われるなどと思わなかったのだから!」
「そんな演算ミスを起こすから、僕たちは全知になれないのだよ!全知という存在は、あのアークス風情の遥か先にいるのだ!このような間違いのないよう、再演算が必要なようだな」
「ずいぶんと慎重なのだな、僕のクローン。そもそも全知になれば演算の必要もなかろう?」
「ではどうやって全知を取り戻せるのだ?君はもっとよく考えてから発言すべきではないのか?」
「なんだと?」
「僕が全知だ!」
「いいや全知は僕だ!」
「全知!」
「全知!」
「やめたまえ君たち。そんな口喧嘩ばかりして、クローンになって知能が下がったのか?」
 二人のクローンが口喧嘩しているところに、もう一人のクローンが仲裁に入った。ルーサーはプライドが高く、自己主張が強い。たとえ相手が自分だろうと、譲らないのだ。
 「喧嘩の前に、僕たちには決めなくてはならないことがあるだろう?」
 仲裁したクローンが言った。
 「ああ、そうだな」
「次のこのマザーシップの主を決めなくてはな」
 彼らルーサーのクローンたちはマザーシップの残骸を侵食し、支配している。現在アークスたちのオラクル船団を統治しているマザーシップは、今ルーサーたちがいるマザーシップではなく、また別のマザーシップである。アークスたちにとって、侵食されたマザーシップは今は不要なものである。そのため、ここはルーサーたちの根城だ。しかし、マザーシップを侵食できるのは一度につき一人。ルーサーが敗れるたびに、マザーシップの主は別のルーサーに代わる。主を変え、次のアークスとの戦いに備えて準備しなければならない。そのための主を決めなければならない。
 「それなら次は僕がここの主だ。お前たちは僕が全知を掴む様子を指をくわえて見ているがいい」
「なんだと!僕こそが全知だと言っているだろう!僕が主だ!」
「ほらほら、やめろと言っているだろう。自分で自分を罵って、見苦しいと思わないのか。お前たちも僕だとはいえ、ここを任せてはおけぬな。僕こそが主にふさわしいだろう」
「おや、何をちゃっかり主宣言をしている。お前は全知を得るどころかアークスどもを倒すことすらかなわんだろう」
「何?」
 
 全知を巡る見苦しい口論が続く。相手が自分と同じ存在であることを忘れ、お互いを罵り続ける。全知は僕だ、見苦しい、抵抗をするな、僕の導き出した解に間違いはない、クローン風情が、無意味だ無駄だ愚かしい、滅びろ消えろ全痴のゴミが。
 「ハァ……ハァ……これでは埒があかないな……ではこういうのはどうだろう」
 口論の末、ルーサーの一人が提案をした。
 「ハァ……ハァ……なんだ……どうせ大したことじゃないだろうが……聞かせてみろ」
 別のルーサーが息を切らしながら言った。
 「僕たちで勝負をするというのはどうだ?」
「勝負?」ルーサー二人が声をそろえて言った。
 「あぁ、そうさ。勝負だ。勝負に勝った者が、次のこのシップの主、つまり全知を得る権利を持つわけだ」
「ははは……それはいい」
「面白い、ここで口論を続けるよりはずっと有意義だな」
「で、勝負の内容は?」
 ルーサーは一呼吸置いて
 「ゴミ掃除だ」と言った。
 一瞬、沈黙した。
 「ゴミ掃除?まさかお前、環境をきれいにしましょうだなんて言うつもりではないな?」
「ダーカーはむしろ汚すのが仕事だろう?まあ、あの有象無象共と一緒にしないで欲しいが」
 「フフ、まあ焦るな。ゴミといっても本物のゴミではない。比喩だ。宇宙のゴミと言ったら、アレしかないだろう?」
「あれ……そうか、アークスか」
「アークス風情を蹴散らした数でも競うつもりか?」
「そのとおり、さすが僕の分身だ、察しがいい。全知に至るためには、その障害を除かねばならない。僕のオリジナルも、その障害を放置したから失敗した。やつらを残しておくと、また変な想定外の事象に見舞われるかもしれないしな。やはり、全知になる過程として必要な儀式だよ」
「ふむ、なるほど。つまりその障害をより多く取り除いた者が」
「全知へ最も近い者、か」
「僕たちにはマザーシップを侵食しなくても戦うことのできる『アンゲル』の形態がある。その形態でアークス共を抹殺するのだ」
「そうだ、そうと決まれば早速アークス風情を蹴散らしてこよう。精々乗り遅れないように頑張るんだな」
「【巨躯】の真似事のようだが……悪くない。行くぞ!」
「「「全知は僕だ!!!」」」
 そう叫び、ルーサーたちはアークスのいる惑星へ向かって飛び出していった。僕のため、全知のため。

 「やっぱり面白いね、ここ」マザーシップを監視していた【双子・男】が言った。
 「増やしてみて、正解だったね」同様に【双子・女】が言った。
 「見に行ってみる?」
「いや、そこまではいいや。どうせ負けるし」
「それもそうだね。じゃ、もっと増やしてよっか」
「そうだね。そのほうが面白いものがまた見れそう」

 今宵もマザーシップに断末魔が響く。

                                     ~おわり~

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COMMENT

No title

ルーサー戦のBGMを聴きながら書きました。

ルーサー戦のBGMを聴きながら読みました。

キャラの特徴捉えるのが上手いですね。
セリフがちゃんと脳内でキャラの声で再生されてきました。

全知!
全知!
の掛け合いは、スピさんの悪意を感じながらも
しっかりと笑わせて頂きました。

最近ルーサー緊急が少ないのは、双子がオモチャに飽きちゃったんでしょうかね…

ともあれ、今後の本編ストーリーと、
サブストーリーのスピカセレクションがますます楽しみになってきますね!

No title

全知っ全知ィ!!

忘れてましたがルーサーって複数に分裂して襲撃してきていたんでしたね。
毎回あんなやり取りがあったのか…。

巨躯は大きな一体から無数の手を飛ばしてきて、敗者は分裂…。
双子と若人はどーなる!?

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